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第6回 キングカズ/プロフェッショナルプレーヤーであり続けること |
キ
ングと呼ばれる男が新天地で再びスタートラインに立った。
移籍先はJ2の横浜FC。
彼はここで何を求め、何を残してくれるのだろうか。
カズについての説明はほとんどする必要もないだろう。
1993年、プロサッカーリーグ"Jリーグ"が開幕してから日本サッカー界に多大なる功績を残してきた男だ。
ブラジル仕込みのフェイントやテクニックでゴールを量産し、観る者を魅了し続けてきた。
まさに誰もが知るスーパースターである。
しかし、寿命が短いサッカー選手にとって年齢の衰えは誰もが避けて通れない致命的な障害だ。
1998年のフランスワールドカップ予選では、初の本大会出場に貢献する活躍をみせたものの、直前でメンバー登録から漏れてしまった。
以後、日本代表からは遠ざかっている。
サッカープレーヤーとしての質は落ちているといわざるを得ない。
全盛期に比べればスピードや体のキレが衰えていることは歴然。
そういった事実があるにも関わらず、今でもカズは爆発的な人気を誇っている。
カズのプレーを観るために多くの人々がスタジアムに足を運ぶ。
横浜FCのホームである三ツ沢競技場では平均3000人ほどだった観客数が、カズの加入後には倍以上に膨れあがったのだ。

なぜ人々はこんなにもカズに惹かれるのか。
答えはおそらく彼のプロサッカー選手としての姿勢や佇まいにあるのではないだろうか。
多くのサッカー関係者の話を聞くと、カズのプロ意識の高さには脱帽させられるという。
練習では誰よりも声を出してチームの士気を上げ、走り込みなどでは常に先頭を走って味方を引っ張る。
マスメディアへの対応も実に毅然としている。
彼の経験や功績が色あせることはない。
プレーヤーとしての質が下がっているという事実がある一方で、プロとして、人間としての価値は上がっているのだ。
プロという厳しい世界で生き残っていくのは並大抵の努力では不可能だ。
トップアスリートとしてのピークを過ぎた者にとって、かつての自分に及ばないもどかしさは現役を退かない限りは消えない。
逆に、「この辺でやめとこう」と思って過去の栄光を大事に飾ったまま引退することはたやすい。
カズほどの人気選手なら引退後の生活に困ることはないだろう。
だが彼は地位も名声も手にしながら、あくまで現役にこだわる。
周囲でも限界説が囁かれていることにも関わらず、自らの意思で現役続行の道を選択する。
そんな彼のひたむきな姿勢にたくさんのエールが送られるのも不思議ではない。
誰もがカズやゴン(中山雅史)、沢登正朗らのベテラン勢には一年でも長く現役を続けてもらいたいと願っていることだろう。
初めて挑むJ2という舞台。確かにレベルは低くなったかもしれない。
しかし、大事なのはそこでどんな結果を残すかだ。
先発が保障されているというわけでもない。
ゴールを決められるとも限らない。
いつ限界が来るかもわからない。
それでもカズはゴールを目指して走り続けるだろう。
彼は以前にこんなことを言っていた。
「"カズ"でいるのは大変だけど、すごく楽しいよ」。
三浦和良、38歳。
彼の挑戦はまだまだ終わらない。
2005.8.21 佐藤俊太郎 |
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